
熊本ホテルキャッスル1階にある会員制クラブに足を運び、奥の方のソファーに座った。・・・左側を見ると、レトロな真鍮製の天秤が光り輝いていた。また、その背後には、色とりどりのディスプレイ用酒瓶が沢山並べてある。・・・何となく、中世ヨーロッパのイメージを醸し出していたのであった。
天井に埋めこまれた数多くの照明の光源が、あちこちのオブジェやディスプレイ用の瓶に当たっては跳ね返り、周辺の生花、キープボトル、グラス、壁やテーブル、椅子など全てが映り込んでいる。・・・暗がりに、静かなる光線の乱舞を楽しむことができるのだ。
天秤・・・瞬間的に思い起こしたのは、弁護士バッジのデザイン。向日葵の中央に天秤の図柄が描かれている。天秤は「重きの比較」なのか!?・・・そのデザインの正確なコンセプトを筆者が知る由もないが、何かを比較しているのに間違いなさそうだ。
近頃、気になって、気になって仕方がない事がある。それは、日々の争い事の多さだ。よって、話し合いも、和解もせず、さっさと裁判へと突入する人達も多い。自分に非が有ろうが無かろうが、嘘まみれの言い訳さえ通れば「得する」かも知れないと言った具合に、稚拙な考え方で告訴に突っ走る。
できれば波風立てず、争い事がない方が、賢明な生き方である。しかし、身勝手さだけで、民事裁判へ持ち込むケースも日々増えており、年間で100万件近い争いが、裁判所を舞台として繰り広げられていると言う。・・・それは、私利私欲や過敏、被害妄想、身勝手な人間が増えた証でもあり、訴訟大国と言われる米国へ右へ習えをして、同じ道を辿りつつあるように感じてしまう。・・・決して、良い方向であるとは言えない。
個人主義と利己主義を取り違え、気に入らぬ人を見ると瞬間的に敵意を持ち、ついつい攻撃的な行動に走り、冷静さを忘れ、自己主張だけを正当化するといった、低レベルな人間が増えたという事になる。勿論、生命や財産に危機感を伴うような事件は、論外・・・法的手段を講じる必要はあるものの、普段の平穏無事な生活において、出来うる限り、諍い事、恨み・妬み事への執着だけで、人を落とし込んだり、潰したりするものではない。
今夜の真鍮製の天秤。・・・まじまじと眺め、ファインダーで覗き込み、シャッターを何度も何度も切っている間に、折角のホット珈琲が冷めてしまったのだった。
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