
数年前まで、(財)日本鉄板焼協会(京都が本部)の特別顧問兼広報戦略担当を仰せつかっていた時期があった。東京ではザ・リッツ・カールトン東京、旧ホテル東急(赤坂)、吉兆東京<すき焼き>、鉄板焼ステーキとみい(浅草)、京都ではホテルグランヴィア京都、大阪では帝国ホテル大阪、神戸ではホテルオークラ、博多ではホテルオークラ福岡、シーホーク福岡、沖縄では鉄板焼ステーキレストラン碧など、都市部にある高級鉄板焼レストランを中心に取材を敢行した。勿論、全て自費にて全国を行脚したので、大層な経費が掛かった。(協会からの補助金など一切無い)
よって、黒毛和牛A5の極上ステーキ・・・門崎丑、松坂牛、神戸牛、佐賀牛、栃木産の和牛、天草黒牛などなど、美しすぎるほどの霜降り和牛を、目一杯食して行った。因みに、高級鉄板焼レストランは、和洋中など多種多様なジャンルの鉄板焼がある。スタンダードなステーキもあれば、しゃぶしゃぶ、すき焼きと、食し方も様々であり、「ホテル文化と食文化」をコンサルする筆者としては、僅か数年間ではあったが、すこぶる学ぶべきことは多かった。
取材の中で、素晴らしい和牛のステーキ肉との出逢いは数限りない。しかし、今回、熊本ホテルキャッスルのダイニングキッチン九曜杏にて、2ヶ月ぶりの「二人グルメ会(友人との情報交換会)」を開催するに当たり、同レストランの工藤料理長が「熊本県産赤牛のシャトーブリアン」を仕入れてくれたのである。同会開催日は、残念ながら同料理長が公休日であり、写真下の堀部セカンドが担当することになった。
ガラス張りの厨房を覗き込むと、日頃と異なる緊張感が伝わってくる。実は、我々が食すまで、厨房内で焼かれているステーキ肉が、その「熊本県産赤牛のシャトーブリアン」とは知らされず、多分に、サプライズとして、我々が腰を抜かすことを想定してのことだったのだろうと。十数分して焼き上がった「熊本県産赤牛のシャトーブリアン」がサーブされてきた。
左手に座っている友人が、「これは、旨い!いやあ、これは凄いですねえ!」と、ナイフとフォークの動きが止まらない。筆者は色見マネージャーと少々話し込んでいた矢先だったので、その「熊本県産赤牛のシャトーブリアン」の試食に乗り遅れてしまった。既に、友人は半分を呑み込んでいる。先ほどの友人の言葉を思い出しながら、ナイフとフォークを手に取り、切る瞬間に、凄い肉であることに気付かされた。
しかしながら、その段階まで、厨房からは「熊本県産赤牛」までは聞かされてはいたが、筆者が最後の一切れを口に含んだ頃に、何やら、堀部セカンドがトレイに肉を乗せてやって来た。「本日は、料理長が厳選したレアものの熊本県産赤牛のシャトーブリアンをご準備しました。如何だったでしょうか!?」と。表情は、ご覧の通り「どや顔」である。・・・正直、「してやられた!」。
黒毛和牛のシャトーブリアンは何度も食したことがあるが、この「熊本県産赤牛のシャトーブリアン」は初の体験である。県産だからと言って依怙贔屓するものではなく、「筆舌に尽くしがたいほど、旨い!」の言葉しか出ない。意表を突かれ、まんまと罠に掛かったことを認めざるを得ない。もし、同レストランが「熊本県産赤牛のシャトーブリアン」を安定供給できるのであれば、熱狂的なステーキファンが急増するのではなかろうかと・・・。
遅ればせながら、「熊本県産赤牛のシャトーブリアン」の詳細だが、「霜降りも繊細で程良く、あっさり優しく、味わい深い。岩塩と山葵だけで、その他ソースなど不要の極上肉。」というものであった。


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