
殺伐とした都市部における生活が長いと、田舎で出逢った人の温もりを、すこぶる心地よく感じることがある。
昨年末、山鹿市下町近くの河川敷を眺めていて、たまたま通りかかった有働サイクル。自転車屋さんとして90年の歴史があり、昭和時代の映画のセットのような店構えに、ふらふらと、無意識に入ってしまったのが出逢いとなった。
それから既に三度ほどお邪魔したろうか、年末など、家族総出で餅つきの最中にも関わらず、美味しいお茶や珈琲、そして、つき立てのよもぎ餅や餡もちなどをご馳走になり、餅のほか藁苞納豆まで手土産として持たせてくれた。帰って、その餅に藁苞納豆を挟んで食し、数十年ぶりの山鹿の味に鳥肌が立ったのである。
翌日、その藁苞納豆がどうしても入手したくなり、有働サイクルの息子さんに電話をすると、山鹿市菊鹿町の相良観音近くにある相良茶屋で販売していると言う。すぐに車を走らせて、その相良茶屋へ行ったものの、到着したのが午後4時過ぎで、名物の藁苞納豆もとじこ豆も完売だった。仕方なく相良観音周辺を撮影して、そのまま帰社する事にした。
翌々日、性懲りも無く・・・相良茶屋のおばあちゃんに直接電話をして、藁苞納豆ととじこ豆を予約。満を持して、同店に向かった。かなり高齢のおばあちゃんだが、笑顔が素敵で、目力もある。しっかりと、私の名前も顔も覚えてくれて、予約商品には「西田様」と、しっかりとした力強い字体で書かれていた。
年末の有働サイクルご一家との出逢いが、どんどんと膨れて、同店に通ってくる方も含め、あちこちの隠れた情報を教えてくれる。今まで知り得なかった、ご当地のレア物情報ばかりで、その地元の生きた情報源に感動しまくり状態となっているのが正直なところだ。
人様との出逢いは不思議なもので、それが好循環となるか悪循環となるかは、互いの人間性に左右される。特に筆者の場合、仕事がどんなにできる人でも、人格欠損者とは接点を持たぬ主義なので、このご一家の、笑いの絶えない、一所懸命さと自然体に、敬愛の念を抱いたのだった。
ふと思ったことだが、昨年、想定外に妙な輩の出現に、お腹いっぱいの状態となり一度捨てかかった郷里を、氏神様が、再度見直すチャンスを与えてくれたのだろうと・・・。
▼大宮神社

▼取材風景

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