熊本県内を見渡すと、全国的に知名度の高い病院がいくつか存在している。これは筆者が考察を重ねた結果に基づく私見であるが、その理由の一つは、入院時の環境や併設されているレストランの料理が、一般的な病院とは比較にならぬほど優れている点である。
県内の年間出生数は2024年6月時点で1万1189人と、毎年激減傾向にある。しかし、ある有名な産婦人科の病院では、そのうち県内出生の四人に一人が同院で生まれており、圧倒的な存在感を誇っている。
更に、眼科でも知られる別の病院には、素朴ながら美味しいレストランが併設されており、通院者だけでなく外部からもランチを楽しむ人々が多く訪れている。
出産と食事の関連性は理解できるが、眼科と食事を結びつけることは一見難しいように思える。しかし、待ち時間や診療後に一息つくため、併設のレストランでお茶や食事が楽しめるのは、非常にありがたいサービスである。
また、これらの病院に共通しているのは、駐車場の充実である。公共交通機関を利用することもできるが、多くの場合、家族が車で患者を送迎することが多いため、無料駐車場を完備している病院は非常に魅力的だ。
かつて、筆者が新聞社に勤務していた時に主催したセミナーで、医療事務における事務長の重要性や病院の立地に関する講義を思い出す。その講義では、都市部の中央に向かう幹線道路の左側に位置する病院が流行ると指摘されていた。
また、患者を「お客様」として丁寧に扱う病院が人気を博しており、スタッフの教育がしっかりと行き届いていることも、流行る病院の共通点である。看護師や事務員のユニフォームのデザインなど、細かな部分にもセンスが求められ、病院の印象に大きな影響を与えることは間違いない。
このように病院の成功要因を考えていくと、病院だけでなく、流行っている宿泊施設にも同様の共通点があることに気づかされる。決して派手ではないが、宿のスタッフはその施設の「顔」として、高い接遇レベルを持っている。
料理もまた、地元の食材をふんだんに使い、高級食材にこだわらず、その土地の風土を反映した独自の調理法を取り入れており、国内外から多くの常連客を引き寄せている。
昭和時代の宿の主人が高級車を乗り回していた時代は遠い昔の話であるが、未だに時代錯誤な経営者が存在することも事実。まるで「水戸黄門」に登場する、博打や酒や女遊びにふける若旦那(バカダンナ)のような人物が今の世にもいることには、苦笑ものである。
話がやや脱線したが、要するに、経営者の志がしっかりと反映された施設は、ヒューマンウェア、ソフトウェア、ハードウェアが完璧に近い形で運営されているのである。
例えば、国内の五つ星ホテルを代表する帝国ホテルは、派手さはないが、スタッフの血の通ったフレンドリーな接遇が、国内外の旅人を魅了し、世界の誇るブランド力を支えている。
最後に、蛇足ながら、帝国ホテル大阪には500台収容の駐車場があるという点にも驚かされる。筆者は仕事の関係で、かつて帝国ホテル東京や大阪に何度も宿泊した経験があるが、チェックイン時の「おかえりなさいませ」、チェックアウト時の「いってらっしゃいませ」という何気ない言葉が今でも心に残っている。
また、行きたくなってしまうものである。
▼ChatGPT-4oによる感想
このエッセイは、熊本県内の流行っている病院や宿泊施設に共通する特徴を分析し、それが成功する理由を掘り下げた興味深い視点を提供しています。エッセイの中核は、顧客(患者や宿泊客)を「お客様」として丁寧に扱い、ヒューマンウェア、ソフトウェア、ハードウェアの要素を高い水準で提供する施設が人気を集めるという考えです。
まず、病院についての分析が具体的であり、特に入院環境や併設レストランのクオリティの高さが成功の要因として挙げられている点は新鮮です。通常、病院の成功要因として医療技術や専門性が強調されがちですが、ここではレストランの食事や駐車場の充実など、患者やその家族が快適に過ごせる環境づくりに注目している点がユニークです。また、食事が出産や回復後の患者にとって重要であることを強調しつつ、眼科と食事の結びつきにも触れており、診療後の一息がもたらす価値を述べている点は、サービスの本質を捉えています。
さらに、病院だけでなく宿泊施設にも共通する「お客様を丁寧に扱う」というテーマに話が展開され、顧客体験の向上がいかに重要であるかが強調されています。スタッフの対応や地元の食材を活かした料理の提供など、派手さに頼らず、顧客の期待に応える細やかなサービスが、流行る施設の鍵であるという洞察が共感を呼びます。特に、昭和時代の豪華なイメージとは異なり、現代の宿泊施設では経営者の意識が問われ、施設の「顔」であるスタッフがいかに重要な役割を果たしているかがよく伝わってきます。
また、帝国ホテルの例を挙げながら、サービスの質の高さが一貫していることに触れ、そのホスピタリティの記憶が長く残るという点が、顧客に再訪を促す強力な要素であることを説得力をもって示しています。チェックイン時の「おかえりなさいませ」という言葉に象徴される、心のこもった接遇は、筆者自身の体験談とともに強い印象を残します。
全体的に、このエッセイは単なる施設運営の話にとどまらず、現代のホスピタリティ産業における本質的な成功要因を明快に述べており、特にサービス業に関わる読者にとって有益な示唆を与える内容となっています。また、筆者の体験が随所に散りばめられているため、エッセイ全体に実感が伴い、読者は筆者の洞察に共感しやすいと感じました。
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写真・文責:西田親生
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