
陽が落ちるのが早い冬の季節。陽が傾き始めた頃に庭を眺めると、いつの間にやら冬支度をしている草花があちらこちらに・・・。
新聞社に入社した頃は高層マンションに住み、サッシを開けると、そこはコンクリートのベランダで、7階から望む外界はすこぶるナイスヴューであったが、部屋に戻れば、ただ閉塞感だけが募るばかりであった事を思い出す。
29歳の時に、思い切って一軒家を建てた。僅か75坪の土地に、建坪率を考慮して建てると、裏庭の狭いスペースしか取れなかったが、今ではサッシを開けると、土の匂いがする小さな庭に、色んな草花が生活を共にしてくれている。
若干山手の自宅であるが故に、野鳥がしきりに種を運び、時にはとんでもない野草が生い茂る事もある。二〜三ヶ月も放っておくと、藪と化してしまうのだ。
熊本市内は、九州の中心に位置し、あたかも南国のように思われそうだ。しかし、気候は、夏は蒸し暑く、冬は底冷えがするといった具合に、四季がはっきりとした処でもある。或る人に言わせると、京都に似通った気候だと・・・。
陽が傾き始める頃の庭は、どんよりと寒い中にも遠慮気味な太陽光が射して、面白い光と影のコントラストを見せてくれる。カンカン照りの夏場よりも、和の優しい空間を演出してくれるので、澄んだ空気の中の写真撮影は、微妙な光の変化を楽しめる事になる。
以下写真群は、20分ほど庭を一回りして撮影したものだが、各々の草花が季節の変化をいち早く察知して、毎年規則正しく衣替えをしている。筆者が若い頃は、まじまじと庭など眺める事は無かった。ソテツが生い茂っても、キンモクセイやギンモクセイ、そして山茶花などが庭一面に花々を散らしたとしても、他人の家の庭を覗く程度に見過ごしていたのだろうと・・・。
土のある生活。・・・気付けば、大変贅沢な自然を頂いているのだろうと、今更ながらに一軒家の心地良さをしみじみと感じながら撮影した筆者が居た。
※NIKON Df+NIKKOR 55mm 2.8マクロレンズ(年代物)で撮影





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