
<礼儀作法と所作>
今日のお題は、「礼儀作法と所作」。
写真下をご覧頂ければ、一目瞭然。ホテルスタッフの立ち姿、笑顔、そして指の先まで神経が通った仕草と表情。私たち素人が、簡単に真似ができるものではない。日々厳しい接遇訓練を重ねた結果が、この所作に通じている。
写真下1枚目は、熊本ホテルキャッスル1階ダイニングキッチン九曜杏のマネージャーである。学生時代に剣道の経験があり、立ち姿が実に美しい。且つ、常に自然体で臨んでいる。歩く姿も、頭の上下動が少なく、革靴の踵の音もせず、さっとお客の動きに合わせて、視線を送り動いている。ウェイターがトレイで飲み物を運ぶ時も、その背後2メートル弱の距離を保ち、いつでもアシストできる態勢を採っている。
また、同レストランの最大の魅力は、各スタッフの笑顔は勿論のことだが、常にお客の話に耳を傾け、暇つぶしをしているお客に対して、退屈させないように心掛けている。時には、取扱注意人物も居るが(筆者が含まれぬことを望む)、そのような時も、嫌な顔一つせず、笑顔を保ち、一所懸命レベルの高い接遇をしている。しかし、バイキングや大勢の団体客のサーブ時には、目の色を変えて、1秒でも早くお客の要望に応えるべく動いてはいるが、端から見ていて、気の毒な時も多々ある。
バイキングシーズンは、これは憶測だが、多分、1日全体で1000枚以上の器を運び、そして片付けまでパーフェクトに行う必要がある。聞くところによると、1日で約10kmほど歩いていると言う。一度、或る女性スタッフの万歩計を見せて貰ったが、間違いなく10kmを超えていた。驚くべき運動量なので、太る暇はなさそうだ。できることなら、一度でも良いので、筆者もお手伝いをして、その1日10kmの重労働を体験してみたいと思ったのだった。勿論、痩身のために。
話が少々横道に逸れてきたので、ここらで軌道修正をすることに・・・。
ホテルマンにとって、最重要チェックポイントは「接遇」である。ザ・リッツのクレド、そして帝国ホテルの十則などを拝見すると、特に、高級ホテルであれば、紳士淑女のお客様に対して、全スタッフが真心を込めて、自らも紳士淑女としておもてなしをすることだろうと。我儘放題のお客であっても、笑顔を絶やさず冷静沈着に、しっかりと対応しているホテルマンには、脱帽礼となってしまう。
心地よく素晴らしい所作というものは、頭の天辺から爪先まで、神経がしなやかに通っている。道案内をする時の立ち位置と会釈をしながらの手先の動きを見ていると、あたかも空間に美しい曲線画を描くようにも見える。言葉がなくても、すっと自然に予約席まで行き着くのである。そこには、スタッフの目線が光っている。目力と言っても良いほどの、高度なコミュニケーション能力を備えている証でもある。
再び、クレドや十則の話に戻るが、ここでお客として、一つ大きな課題が提起されているように思えて仕方がない。それは、「紳士淑女としてのお客様」として接遇を受けるのだから、当然に我々は、品格を持ち、ホテル利用に関しては、常にお行儀よくしなければならぬのが大前提となる。そこを取り違えて、お金を払うから無理難題が通用するといった思い込みの激しい方々もいるので、その方々には、今一度、ホテル利用法を勉強して頂く必要がある。
よって、ホテル側にだけ、一方的に最高の接遇や所作を求めるのは履き違えというものであり、最高の接遇を受けたいのであれば、お客側がそれ相応のモラルと品格を備えておかねばならない。
蛇足ながら、最後の写真を見て頂きたい。・・・数人の女性がロビー中央で井戸端会議に入っている。その他のお客やホテルスタッフの通り道を塞ぐ形で、円形になっての長話。これでは、前述の「紳士淑女としての接遇」を受ける資格がないことになる。特に、パーティや披露宴などの終了後に、このような人たちがワンサと集まり、大声を上げて話している。楽しいのは理解ができるけれども、そこは公共の場。酔った勢いで大人げない愚行をせぬよう、呉々もご注意頂きたいもの。
▼同レストランマネージャー

▼お客様の歩く姿も美しい






▼ホテルロビー中央で話をする人たち

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