▼阿蘇外輪山を望む(台風14号の影響で雲の様子が普段と異なる)

台風14号九州北部接近の二日前だが、ヒョウモンチョウとマリゴールドを求めて、半高山(玉東町)へ足を運ぶことにした。夏場に景観よろしく色んな花々を見る事ができるのは、筆者が知る限り、ここが一番だと思い、最近は足繁く通うようになった。
本日は、たまたま蜜柑の出荷準備なのか、蜜柑農家の軽トラや自家用車数台が山頂道沿いに並んでいる。眩しい太陽光の下、ヒョウモンチョウやアゲハチョウが、マリゴールドやマツバボタンなどの花々の蜜を吸いながら、乱舞していた。
蜜柑畑を所有している老夫婦に挨拶をすると、お爺さんがマリゴールドにとまる蝶を指差し、「蝶ば撮りよんなはっとですか?何という蝶だろか?」と聞いてきた。ヒョウモンチョウと答えると、「ヒョウの柄んごたる蝶な!?はいはい!」と頷いた。
花壇の手入れは大変だが、花々は取材の被写体として有難いと言うと、蜜柑畑で作業しているご婦人を指差し、「こん婆さんが、しよっとですよ!」と。それから、お婆さんが、顔を覆っていた手ぬぐいを取り、汗を吹きながら近づいてきた。
「どっから来とんなはっとですか?はあ、熊本市な!?マリゴールドはな、今、シワガレとるばってん、また、咲きますもんな。マツバボタンは乾いとりますが、朝方が綺麗に咲いとるけん、今日は写真ば撮ったとですよ!」と笑顔で語ってくれた。
半高山は西南戦争の戦跡として知られるが、山頂手前傾斜一帯が、この老夫婦の蜜柑畑のようだ。急な斜面に蜜柑の木が整然と並び、弾けんばかりの果実が鈴生りになっている。生産農家の高齢化を耳にするが、思いの外、大変な作業のようだ。
そこから数十メートル下った左手の蜜柑畑は、数年前に取材したところである。しかし、この二、三年は、そのお爺さんの姿を見る事がなくなった。当時、脚立から落ちて、腰と足を痛めたと苦笑いしていたご老体。元気ならば良いが、何気に寂しさを覚える。
コロナ禍と雖も、自然に囲まれた蜜柑畑は、突っ立っているだけで、そよ風が顔を撫で、小鳥や烏の鳴き声、そして虫の音があちらこちらから聞こえてくる。遠景にうっすらと見える阿蘇外輪山。風力発電の真っ白な風車が胡麻粒のように見えるが、この開放的な景観は堪らない。
本日のご挨拶と語らい。田舎では当たり前のことだが、最近の新興住宅地ではほとんど見受けられない光景だ。仏頂面の高齢ドライバーが多く、会釈も何もないままエンジン吹かして、道のど真ん中を通り過ぎる。何とも味気ない世の中になったものだと思うばかり・・・。
しかし、この温かなヒューマンコミュニケーションは、礼節を重んじる日本人の血が流れているのであれば、これからも大切に守り続けるべき善き習慣である。疑心暗鬼な世の中になるのは、コミュニケーション不足が大きな要因と言えようが、余りにも世知辛くはあるまいか。
▼老夫婦が所有する蜜柑畑

▼お婆さんが世話をするマリゴールドでランチするヒョウモンチョウ




▼本日の取材ランチ「ぷるぷる美肌膳」(熊本ホテルキャッスル)

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