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相良茶屋の「藁苞納豆」

▼杉秀子さん(相良茶屋の店主)
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 年末に或る方から教えてもらった「藁苞納豆」を作る店、相良茶屋(あいらちゃや)。同店は、相良の相良トビカズラ(国指定の特別天然記念物/樹齢千年)で知られる、熊本県山鹿市菊鹿町の山手にある。

 店主は杉秀子さん(83歳)、元気一杯のおばあちゃんだ。年末から既に数回お会いしているが、今日も一人で翌日店頭に並べる「藁苞納豆」の準備をしていた。「こぎゃん年取っても、まあだ働かないかんとですたい。」(翻訳:このように年取っても、まだまだ働く必要があるんですよ。)と言いながらも、黙々と藁の束を揃えていた。

 また、ご長男だろうか、厨房で人気の栗饅頭やとじこ豆の準備をしていた。「こん納豆ばすいとる人んおんなはっとですが、風邪ばひきなはったっでっしょか、二つとっとってはいよて、電話んあったとですよ。」(翻訳:この納豆を好きな人がいらっしゃるのですが、風邪をひかれたのか、納豆二束を取り置きしておいて下さいと、電話があったんですよ。)

 土曜日というのに、年末年始とは違い、同店や周囲の店々もややのんびりとしていた。年末年始には毎日80束の「藁苞納豆」を仕込んでいると言っていたが、同店には別棟の「納豆小屋」があるようだ。その中に大きなボックスが設置してあり、それらのボックスに籾殻を敷き詰め、「藁苞納豆」の束を並べ、また籾殻を撒いて、何層にも「藁苞納豆」を格納すると言う。

 二日ほどで程良く発酵し、珍味の健康商品として陳列棚に並べるようだが、思ったより手間暇が掛かるものなので、1束350円の値段には頷ける。筆者の食べ方は、藁苞から納豆を取り出し、タッパーに入れ、適量の塩を振り掛け、よく馴染ませて冷蔵庫に保管する。それから数回に分けて食す訳だが、粘りも豆の大きさも、柔らかさも風味も最高の「和製発酵食品の王様」に、大感謝となる。

 ちなみに、この「藁苞納豆」や「とじこ豆」などは、毎年3月頃までは作るとの事。・・・まだまだ楽しむに十分な期間があるようだ。


▼藁苞納豆(藁苞から取り出した納豆)をiPhoneで撮影したもの
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▼相良茶屋
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▼近くの駐車場に咲く水仙
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▼相良観音(昨年末に撮影)
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  • posted by Chikao Nishida at 2017/1/15 12:00 am

有働家の餅つき・・・

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 スマホのメールを確認していると、不覚にも12月下旬から開いていなかった。溜まりに溜まったメールを読んでいると、先般、記事を書いた有働サイクル(山鹿市下町)の息子さんからお礼のメールが2通来ていた。最近はスマホのメールをフル活用していなかったので、大変申し訳なかったが、遅ればせながら、慌てて返信した。

 取材ランチは、熊本ホテルキャッスルのダイニングキッチン九曜杏で済ませた。天候があまり取材には適さぬので取材予定を組んでいなかったが、車はホテルを離れ、国道3号線を北上している。山鹿市に近づくにつれ、ちょっとした土産物があったので、折角ならと思い有働サイクルへ足を運ぶことにした。

 話は前後するが、これが「ご縁」なのだろうと思わされた1日となった。

 実は、年末に杵つきの餅が余りにも美味かったので、その旨を告げると、「また餅をつきますから、その時はお知らせします。」と聞いていた。しかし、鏡開も過ぎていたので、正直、その記憶は薄れていた。・・・菊池川沿いに車を停めて、同店の引き戸を開け、ご挨拶。

 すると、息子さんが出てきて、お父さんが餅をつくと言う。そこで再度メールを確認すると、先ほどのメールの直ぐ後に、「実は明日予定していた餅つきを、父親の都合で急遽夕方からすることになりました。・・・」とあった。結局、筆者はその情報を全く知らぬまま、偶然にも同店の玄関に立っているのだった。(これが縁なのだろう)

 前置きが長くなってしまった。・・・早速、築100年を超える、自宅兼店舗の中を通り裏庭に足を踏み入れると、100年ほど前の蒸籠で餅米が蒸されていた。二升二段の蒸籠の上方から湯気が激しく立ち登り、火力が強くなると、車のバックファイアのように、煙突から何度も炎が吹き出ていた。

 手際よく、上一段の蒸籠で蒸された餅米が石臼に投げ入れられ、店主と息子さん二人が杵先で揉みながら、つき始めた。ペッタンペッタンの小気味好い石臼と杵、そして餅のパーカッションの音。「できたつに塩ばかけて食ぶっと、たいぎゃな旨かですばい!」(翻訳:出来上がりのものに塩を振り掛けて食べると、大変美味しいですよ!)と。

 言われた通り、できたての餅に塩を振り掛けて食してみた。つき加減も良く、本当に美味かった。更に、準備していたボール状の粒餡を、女性陣ができたての餅で包み始め、次から次へとまん丸な餡餅が完成する。見学しているばかりでは気の毒に思えるが、長椅子に座って味見をさせてもらうのは非常に気がひける、と思いながら、ささっと出来立て3個の餅を食べてしまった。

 餅つきを目の前で見るのは、数十年ぶり。それも、家庭の裏庭で、家族揃っての餅つきをしている場景を見るのは初めてだった。一人一人が各々お喋りをしているが、同時に別々の話をしても、皆、理解できるという不思議な空間だ。アットホームで、何の驕もなく、素朴で自然体。一言で餅つきと言っても、前準備から完成、後始末まで考えると、1日掛かってしまう大イベントとなる。

 「面倒臭いものは世の中から消えて行く時代・・・杵で餅つきという習慣もなくなってしまった!」と、店主の奥様が話してくれた。確かに、面倒臭いことなのだろうが、現代社会はお金だけで欲しいものを買うという、実に簡単な行為で全てが成り立っている。しかし、このように手間隙掛けても、一つの完成品を作り出すという「ものづくり精神」を忘れてはいけないと感じたのだった。

 特に、昨年の大地震を経験して、この「ものづくり」の知恵が欠落しているからこそ、あちこちのコンビニやスーパー、水汲み場などで諍いが絶えなかったのだろうと。某国(アジア圏)では、保存食を作る伝統を継承できなかったために、餓死者が急増したという話を聞いたことがあったが、正しく、生きて行くための先人たちの「知恵」を、今一度、学ぶ姿勢や志が必要ではないかと・・・。

 少々話が飛びまくったが、帰りには奥様が「タッパーは返しなはらんで良かけん、餅ば持って帰んなはっとよか。美味かて言いなはっと、ほなこて嬉しかですばい!」と。(翻訳:餅を入れたタッパーはお返しされなくても良いので、餅をお持ち帰りくださいね。美味しいと仰ると、本当に嬉しいですよ!)・・・

 ご馳走様でした。




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▼取材ランチ:熊本ホテルキャッスルのダイニングキッチン九曜杏
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  • posted by Chikao Nishida at 2017/1/14 12:00 am

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