
震災後100日を過ぎ、その間、いろんな出逢い、いろんな発見があった。
特に、震災直後にはライフラインが閉ざされ、水と食糧不足という、熊本県内全域(山鹿、玉名、八代、天草、人吉、水俣地域を除く)が想定外の緊急事態に陥った。土砂崩れや亀裂が生じ、高速道路など主要幹線道路が通行止めとなり、熊本市内中心部のホテル群も甚大な被害を被り、観光立県の熊本が一瞬にして暗黒世界の様相を呈していた。
しかし、筆者の知る限りではあるが、常にクオリティの高さに拘ってきたホテルやレストランは、ドン底であったが、諦めることなく復興に向けて動き、日々、血の滲む思いを強いれながらも、踏ん張ってきた。
その証の一つが、先日夜間に見掛けた、熊本ホテルキャッスルの大きな電照看板にある「さらに美味しいホテルをめざします。」の文字だった。・・・「さらに」である。
筆者が同ホテルに足繁く通い始めて、既に35年の歳月が流れた。地階にある四川料理 桃花源で初めて食したランチ、ジビエを楽しませて頂いた11階フレンチレストランのロワール(現トゥール・ド・シャトー)、小上がりで5000円のすき焼きを思う存分食べた銀杏(現ダイニングキッチン九曜杏)と思い起こせば、筆者の食のスタンダードを与えてくれたのだった。
ここ数ヶ月間、余震の危険性も多々あったので、安全地帯であった熊本県北部を中心として、A級からB級のランチを食し、その地域がどの程度の食文化を発信しているのかを、自分なりに検証したのである。
結論として、地産地消と言いながらも、それを活かしきれていない料理も沢山あった。値段がワンコインだからその程度で、塩辛かったり、油臭かったり、せっかくの食材の良さが殺されている料理もあった。プロの調理人の料理と似非料理人が作る料理との差は明白であった。
また、地産外商に突っ走り、十分なリサーチや分析も根拠もないPB(プライベートブランド)商品開発の弊害として、足元を掬われるような生産者も沢山いた。例えば、瓶入りのジュースを某スーパーに陳列してあったが、どんどんと賞味期限が迫る中で、全く売れていないのである。
何故売れないのか!?・・・それは、センスの悪さもさることながら、クオリティの高さに拘りを持っていないからである。ただ、思いつきのPBであるが故に、デザインも酷いもので、手に取って見たい気持ちも湧かない、愚策から生まれた拙作だから、売れない。当然の結果である。
話が逸れてしまったが、或る時、同ホテルの桃花源のメニューを隅から隅まで眺めていた。常にグランドメニューとして、約100種類の料理が準備されていた。それも、アヒル、鶏、豚、牛、野菜、魚、フカヒレ、アワビ、海燕の巣、エビ、カニ、麺類、野菜、その他点心・・・と、全て厳選された食材をフルに使った、本物の四川料理である。自信満々、クオリティに拘り抜いたグランドメニューだった。
東京、大阪、博多からも、わざわざ足を運ぶファンも多いと言う。それは、リーズナブルだが、手抜きのない拘り、ハイクオリティをとことん追求している料理群だからである。・・・メニューを見ていると、あれもこれもと大量に注文したくなるほどのものだった。
震災後、甚大な被害を被った同ホテルではあるが、「さらに」を強調して、これから先も、熊本県内における食文化発信基地の中心として動き出したのであろうと筆者は考えている次第。
極端な話だが、酒浸りの人、偏食の人、宗教色の強い人等、食を軽視する人の人生はすこぶるさもしいものに感じる。食は人の心を思いの外豊かにしてくれる。食文化の高さは、その人に文化の香りを教えてくれる訳だ。よって、人生、「美味しいものを、美味しく食す!」の毎日が一番健康なことであろうと・・・。
言葉は適切ではないが、「食に勝る快楽なし!」である。
▼同ホテルサイドの電照看板

▼四川料理 桃花源のビジネスランチ

▼ダイニングキッチン九曜杏のスペアリブ

▼ダイニングキッチン九曜杏のビーフカレー

▼ダイニングキッチン九曜杏の和食(健康料理)

◎先見塾公式サイト
http://www.senkenjyuku.com/

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