
ユネスコの無形遺産に登録された「和食」だが、最近、頓に危惧の念ばかりを持つようになった。
・・・と言うのは、「和食」という食文化が世界デビューを果たして、世界各国で愛されるようになった日本食(健康食)ではあるが、それを調理するプロの職人がなかなか育つ環境が少ないという点が、少々気になってしまう。
先般、テレビ番組でも大使館や領事館の料理人に、日本人シェフが不足しており、何と、タイ国あたりからのシェフが登用されているのが現状。5人に1人が外国人となっている。
筆者は料理の世界の人間ではないが、グルメのキャリアとしてはかなりの実績を持つと自負している。そこで感じるのが、「和食」の世界の大改革をしない限り、これから鮮やかなる進化は望めないのではないかと考える。
昔ながらの旧態依然としたピラミッド構造の徒弟制。それを現代に引っ張り込んだとしても、若手調理人のカルチャーレベルが高まるはずもない。勿論、血の滲むような努力をした調理人は、どんどん上へ上へ這い上がって行く。しかし、努力もしない料理人は、脱落してしまうだけの話なのである。
昔、帝国ホテルの村上信夫総料理長が、NHK番組と併行して、日本全国へ「洋食文化」を浸透させていった訳だが、正直なところ、コンビニ弁当などが現在は蔓延り、「和食文化」が見られなくなってしまった感がある。家庭料理に、インスタント味噌汁やコンビニ弁当を持ち込む若い主婦も多くなっている。
無形遺産としての価値が何処にあるのか!?と問い質したいほどの、レベルの低い食文化と化した現在、その掘り起こしの為に、先ずは、調理人の文化レベルや見識を高める為にも、「教育システムの構築」と「徒弟制度の大改革」を早期着手すべきだと、考えさせられてしまうのである。


※写真はイメージ
【ディー・アンド・エルリサーチ株式会社公式サイト】 http://www.dandl.co.jp/dandl/

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