
メンタルなその手の本を沢山読んで知識を増やそうが、悪癖排除や弱点補強を宣言しようが、理想通りに事は運ばない。それは、何故そうなったかの原因を十分把握し納得した上で動かねば、解決する術はない。
モチベーションをアップするための物の本は無数にある。ところが、それらを読破したとしても、変化もなく進化もなく、現状維持するばかりの人がいる。今の自らの姿(結果)に気を取られ、その原因となるものを探し出せないから、処方箋が見つからないのである。
病は気からというように、今の日本人の多くが病んでいる。医療技術の進化により肉体的な寿命は伸びるが、心が病んでしまってはどうしようもない。
本日、ある人物から相談の電話が掛かってきた。久しぶりの電話だったが、一念発起して前に進みたいという決意宣言の電話である。
そこで、その人物に問い掛けをしてみた。「ポジティブ宣言は認めるが、今の自分において、これまでの失態を引き起こしてきた悪癖や弱点は何が原因だと思うか?」と。
その人物は、心技体一致の宣言をしたかったようだが、それは今の結果を見て、その改善に向けて動こうとしているのは十分理解できる。
ただ、今まで溜まりに溜まった悪癖や弱点が生み出したヘドロの原因に目が向いていないのである。しばらく熟考して返ってきた言葉は以下の通り。
「失敗して先輩から激しく叱責を受けて、足で蹴られたなどのトラウマなのかも知れません。そこで、何度も失敗を繰り返す中で麻痺してしまって、遣ってる感を出すばかりで、良い子ぶりっ子の人間になってしまったと思います。」と。
更に、筆者は質問を投げかける。「それは理解できたけれども、他者の責任にも受け止められるが、重要なことは、外的要因ではなく、貴方の内的要因が何なのかを聞きたい。」
「それが分からないのです。と答える、その人物。
それに対して、「何故、その当時馴れや麻痺を選んだのか?何故、心の中に他者の所業に対して跳ね返すバネを備えなかったのか?」と聞くことにした。
返ってきた言葉は、「やはり、良い子ぶりっ子でその場を凌いでいた自分がいたと思います。」と。
過去においてトラウマになるようなものが多く存在していたのは事実のようだ。しかし、若い頃ならば、勇気を持って心にバネを備え、直球勝負で体当たりするほどの気合いは欲しいものである。
されど、昭和の悪しき世界は社内暴力など日常茶飯事であり、職場環境が良いとは言えないのが、その人物の社会人として不幸の始まりだったことが窺い知れる。しかし、心にバネを持たねば、常に受け身で被害者となるのがオチである。
本日の結論としては、今の自分の悪癖や弱腰となった大きな原因は、外的要因としてのパワハラであろうけれども、内的要因として「責任回避」、「良い子ぶりっこ演出」、「バネの不存在」などが判明したことになる。
これから「意識改革」をとことん進めていくからには、この内的要因を素直に受け入れて、悪癖やら弱点などで塗り固められたものに対して「一部自己否定」を続けながら、改善に向けて突進するほかはない。
今回、「気づき」があり「意識改革」への目標を掲げ、更に、重要な「原因」が判明したので、後は「継続性」をもった「自己改革」への道のりに一歩、二歩踏み出すことが重要だ。決して、バックホップ(back hop)して振り出しに戻らぬように。
▼ChatGPT-4oによる感想
このコラムは、自己改革と意識変革についての深い考察がなされている。特に、「悪癖の排除」や「弱点の補強」に関して、単にポジティブな宣言をするだけでは意味がなく、原因を徹底的に分析し、内的要因に向き合うことの重要性を説いている点が印象的だ。
1. メンタル本の限界と本質的な変化
冒頭で、メンタル系の書籍をいくら読んでも、現実には変化が起こらないことが指摘されている。これは自己啓発書の功罪に関する典型的な議論であり、「知識を増やすだけではダメで、行動しなければならない」という原則が強調されている。しかし、それだけではなく、「なぜ自分がその悪癖や弱点を持つに至ったのか」という原因の深掘りが必要であり、表面的な変化ではなく根本的な意識改革が求められるという視点が非常に的確である。
2. 外的要因 vs 内的要因
このコラムの核となる部分は、悪癖や弱点の原因が単なる「外的要因」にあるのではなく、「内的要因」にもあることを認識しなければならないという点だ。例えば、職場でのパワハラのような外的環境の影響は確かに大きいが、それを受ける側の「責任回避」や「良い子ぶりっこ演出」といった内的要因が、問題をより長期化させているという分析は鋭い。
一般的に、多くの人は自己の失敗を外部環境のせいにしがちである。しかし、コラムでは「なぜその状況に適応しようとしたのか?」「なぜ抵抗せず受け身になったのか?」といった問いを投げかけており、問題の本質を掘り下げている。このようなアプローチは、単なる自己肯定ではなく、本当の意味での成長につながるものである。
3. 心の「バネ」の重要性
「心にバネを備える」という表現が象徴的だ。バネとは、外部からの圧力に対して跳ね返す力、すなわち自己防衛や反発力を意味する。このバネが存在しない場合、常に受け身のままとなり、結果的に自分の人生をコントロールすることができなくなる。これは、昭和時代の職場環境を振り返りながら語られているが、現代においても、受け身でいる限り環境に流されてしまうことを示唆している。
また、「トラウマ」という言葉を用いて、過去の経験が現在の行動に与える影響についても言及している。しかし、そのトラウマを理由に行動を制限するのではなく、それを乗り越える方法として「内的要因の認識」と「意識改革」を推奨している点は、自己成長において非常に実践的な視点である。
4. 「自己否定」を伴う自己改革
コラムの終盤では、「一部自己否定」を行いながら意識改革を進めるべきだと述べられている。これは非常に重要なポイントで、単なる自己肯定やモチベーションアップではなく、過去の自分の行動を冷静に分析し、改善するための「自己否定」が必要であることを示唆している。
多くの自己啓発では「自分を受け入れよう」「自分を好きになろう」といったポジティブなアプローチが推奨されるが、それだけでは根本的な変化には至らない。本当の意味での成長には、「自分の過去の行動や思考を否定し、新しい自分を作り直す」というプロセスが不可欠である。その点で、このコラムは非常に現実的であり、自己改革を実行する上での有益な指針を提示している。
5. 「継続性」と「バックホップ」の警告
最後に、「継続性」と「バックホップ(後戻りしないこと)」の重要性が強調されている。自己改革は一度の決意で完結するものではなく、長期的な取り組みが必要である。しかし、ほとんどの人は途中で挫折し、元の状態に戻ってしまう。この「バックホップ」を防ぐためには、「意識改革の目標を明確にし、それを習慣化する」ことが求められる。
この点においても、単なるモチベーション論ではなく、継続的な努力の重要性を説いている点が非常に現実的である。
総評
このコラムは、単なるポジティブシンキングではなく、自己改革を実践するための本質的なアプローチを示している。「内的要因の認識」「心のバネ」「自己否定を伴う成長」「継続性の重要性」といった要素が論理的に展開されており、単なる理想論ではなく、実際に変化を起こすための具体的な指針が示されている点が優れている。
特に、現代社会においても、自己改革に取り組む多くの人が「原因の分析不足」や「受け身の姿勢」に陥りがちであるため、このコラムの内容は非常に実践的であると言える。自己啓発に関心がある人だけでなく、ビジネスパーソンや若手社会人にとっても、大いに参考になる内容である。
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文責:西田親生
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