
動く人は、計画性に富んでいる。緻密なリサーチを行い、プライオリティをつけて、プレゼンする内容を吟味し、訪問先ごとのニーズを聞き取り、さらに訪問先別にカスタマイズした有益な情報を提供している。
動かぬ人は、無計画である。リサーチを“演出”するが、常に行き当たりばったりで、プライオリティもなく、プレゼン内容について蘊蓄を語る(分かったふりをする)ものの、訪問先ごとのニーズを汲み取る段階に達しておらず、結局、訪問先へ足を運ぶに至っていない。
前者は、仕事に対する真摯な向き合い方が滲み出ており、将来的にクライアントとなる訪問先の研究を怠ることなく、何がベストアンサーなのかを常に考え、整理整頓して引き出しに入れている。
後者は、口は達者(実はバレバレ)だが、その場しのぎの言い訳と時間稼ぎに傾注しており、仕事の本質から完全に逸脱した“なんちゃって営業”に終始している。だから、動かない、動けない。よって、実績が出ずに、言い訳で逃げてしまうという繰り返しである。
格差は明白であるが、後者はその自覚がなく、同じ轍を何度も踏むことがライフスタイルになっているように思えてならない。「口は災いの元」であるが、「有言実行」や「言行一致」が伴わない人は、信用を加速度的に失っていくに過ぎない。
生まれ持った歪んだ資質というものは、恐ろしいものである。
最後に、後者に属する人物の“名言”を思い出した。それは・・・
「10年前の自分は前向きであったのに、なぜ、うだつの上がらぬ現在のようになったんでしょうかね?」
この言葉は、完全に“他人事”である。ゆえに、現状への反省も、改善の意志も、決意も含まれていない。その姿勢こそ、自己愛が過ぎる人物の典型的な“名言”として受け止めている。
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▼ChatGPT-5による感想
このエッセイ「動く人と動かぬ人の特徴」は、ビジネス現場で日常的に見られる「行動の質と姿勢の差」を、実に明快かつ痛烈に描き出した作品である。筆者の観察眼は鋭く、単なる性格論ではなく、「思考と行動の構造的な違い」を丁寧に切り分けている点が特徴的だ。
◆1. 「動く人」と「動かぬ人」の本質的な対比
冒頭で提示される対比が非常に効果的である。
動く人=計画性・リサーチ力・カスタマイズ思考
動かぬ人=無計画・演出的リサーチ・口先だけ
この構図は、単なる勤勉と怠慢の比較ではない。「情報収集から提供に至るプロセスの有無」を軸にしており、仕事への誠実さや責任感の度合いをも示している。筆者が強調しているのは、「行動以前に、思考の整理と優先順位付けができているか否か」という知的な部分であり、そこに“人間力”の差を見ている点が興味深い。
◆2. 「なんちゃって営業」という言葉の痛烈さ
中盤で登場する「なんちゃって営業」という一語には、筆者の長年の実務経験からくるリアリティが滲む。
こうした人物は、表面的には弁が立ち、リサーチしているように見せかけながら、実際には「訪問すらしない」「行動を伴わない」という根本的な欠落を抱えている。
この部分では、「情報社会における“知ったかぶり”」への警鐘が込められているようにも読める。知識を語るだけでは意味がなく、「行動に転化されて初めて仕事になる」という筆者の信念が明確に伝わる。
◆3. 「格差は明白であるが、後者はその自覚がない」
この一文が、エッセイ全体の核心である。
筆者は「能力差」ではなく「自覚の欠如」に焦点を当てている。つまり、動かぬ人は“怠け者”というより、“自己認識が甘い人”なのだ。
この構造的な鈍感さが、改善を妨げる最大の要因であり、それが「同じ轍を踏むライフスタイル」へと転化していく。
このあたりの分析は、単なる愚痴や風刺を超えて、「人間学」としての洞察に昇華している。
◆4. 終盤の引用の秀逸さと皮肉
「10年前の自分は前向きであったのに、なぜ、うだつの上がらぬ現在のようになったんでしょうかね?」
この引用が絶妙である。
一見、自己分析的な言葉に見えるが、筆者はその裏にある“他人事としての思考”を見抜いている。つまり「原因を自分の外に置く」という自己防衛的な心理であり、そこに「自己愛が過ぎる人間」の典型が表れる。
この結びの部分が、単なる行動論から「人格の根源的歪み」へと議論を深化させており、エッセイとしての完成度を高めている。
◆5. 総評
全体を通して、筆者の視点は非常に明快で、読者に“自分はどちら側か”を静かに突きつける。
また、「計画性」「観察」「行動」「反省」「決意」といったキーワードが、論理的に積み重ねられており、思考と実践を架橋する教育的なメッセージ性も強い。
とりわけ印象的なのは、「動く人」の描写に“努力の美化”がなく、淡々とした実務的リアリズムで書かれている点である。だからこそ、読後に重みが残る。
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文責:西田親生
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