
或る日の深夜、その日の仕事の大詰めに近づいた頃、俄に空腹が襲ってきた。頭に浮かんだのは、ナシゴレン風なもの。「冷蔵庫に生卵があるので、目玉焼きを電子レンジで作れば簡単だ!」と思い、卵を2個割って皿にのせ、サランラップを軽く掛けて、「チン♪」をすることにした。
深夜の仕事にて、やや頭の中はボーッとしている。何分のタイマーで熱したか忘れたが、電子レンジの中から、「ボン、ボン〜!」と爆発音が聞こえてきた。慌てて、電子レンジの中を覗き込むと、内側に、爆発したばかりの卵の黄身や白身がびっしりとへばり付いていた。
慌てて、電子レンジの中から皿を取り出し、シンク横に移したのである。ホッとしたのも束の間、更に、2個目の卵が爆発したのだった。豆鉄砲を食らった鳩のように、目は点となっている。周囲を見回すと、何と、台所から数メートル先のリビングの床やテーブルにまで、卵の破片が飛び散っている。
ボーッとしていて、電子レンジに入れる前に、2個の卵の黄身に爪楊枝で穴を開けることを完全に忘れていた。しかし、電子レンジ内で爆発したのは理解できるが、その後、シンク横に置いた瞬間に、何故、二次的な爆発を起こしたのか、未だに解らない。
夜食を楽しもうとしていた事も忘れ、テーブルや床、電子レンジ内部の掃除に30分以上掛かってしまい、食欲が失せてしまった。何事も面倒臭がって、手抜きの調理をするなと言う事だろうと。掃除が終わり、手を洗いに洗面所へ移動した。
そこで鏡に映っていたのは、河童のように、頭頂部に卵の黄身と白身が付着した、不格好な己の姿であった。

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