
瓦礫の山と化した、十八間櫓と五間櫓。ゴロゴロと芝生を埋め尽くし、以前の姿がどうだったのか思い出せないほどの惨状である。・・・棒安坂左手前には、崩れた石垣の石たちが整然と並んでいた。いよいよ復旧に向けて、動き出したのかと、期待が膨らんだ。
それでも、その坂を登りながら周囲を見渡せば、あらゆる石垣が歪み、膨らみ、浮き出した部分がやけに目立つのだった。あの重厚で安定した末広がりの石組みも、震度6や7に襲われると、木っ端微塵となってしまう。どれほどの力なのか、想像を絶する次第。
茶臼山を覆い尽くす、9万年前の火砕流の堆積物。そのふわふわとした隙間だらけの不安定な地層の上に、熊本城の櫓や塀などが建っている。ミルフィーユのケーキを横から見たような、スカスカの堆積層なのだろうと・・・。
先般、修復したばかりの泰勝寺の石垣が、完成2日後に被災し、また、崩れ去っているのを見てしまった。数ヶ月掛けて積み上げた石垣が、数ヶ月前の哀れな姿に再び戻ってしまったのだ。
これでは、イタチごっこ。これから何十年かかるか分からないが、熊本城全体の復旧には、今後の大地震や台風対策など、十分なシミュレーションが行われない限り、泰勝寺の石垣と同じことになってしまう。実に厄介なものであるようだ。
真夏のような炎天下。急な坂を上り詰めると、戌亥櫓(最後の写真)の可哀想な姿が眼前に現れた・・・。








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