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メタバースは今更珍しくもなく、結局は、リアル世界へ回帰する。

Chikao-ICT


 テレビ報道で「メタバース」のアバター同士のお見合いのニュースが流れていたが、全く物珍しいものでもなく、2007年に日本上陸した仮想現実世界「Second Life」を十分研究した上での報道なのか、首を傾げてしまった。

 国内では、既に16年前に存在していた「Second Life」(現存する世界最古の大規模仮想世界)。当時、いち早く「KUMAMOTO JAPAN」と言うSIMを開設し、650人ほどのメンバーで運営していたことがあった。当時も、仮想世界ではヘッドセットを装着すれば、互いのアバター同士で肉声による会話や文字チャットでコミュニケーションを交わすことが十分できていたのである。

 よって、「メタバース」と言う新造語によって様変わりしたかのように思えるが、その仮想世界の中身を覗くと、活用例やイベント、アバターの動きなどを拝見すると、16年前と全く変わることもなく、新鮮味もなく、進化していない。

 筆者主宰のSIMでは、時には海外のアバターが恋に落ち、仮想世界で結婚式を挙げ、リアル世界で実際に結婚したカップルもいた。確か、イタリアとドイツからのアバター二人だったと記憶する。

 また、国内でも九州地方と中国地方から舞い降りてきたアバター同士が交際を始め、リアル世界では、中国地方の人物が九州地方へ移住して結婚した例もあった。よって、本日報道の「メタバース」におけるお見合いを見ても、何の違和感もなく、何の新鮮さも伝わって来なかったのである。

 ただ、報道では、アバター同士の接触により実像が見えず、内面的なコミュニケーションにて互いを深く知ることができると言っていたが、最終的には、その仮想世界から現実世界へ回帰することになり、アバターの段階にてお祭り騒ぎのように喜んでばかりはいられない。

 万が一、相手の日頃の素行が悪かったり、過去において脛に傷があったり、妙な悪癖があったりした場合、どう対処するのだろうかと、危惧するばかり。我々は現実世界に生きているのだから、仮想世界で生きることはできない。現実世界で絶命すれば、仮想世界のアバターは抹消されずにアカウントが残ったとしても、それをコントロールする現実世界の人はいない訳だ。

 「メタバース」については、地球上、いや宇宙にてもアバターを操ることが可能なので、距離に関係なく、万が一、筆者の身体が不自由になったとしてもコミュニケーションを交わすことができるのは素晴らしいことである。しかしながら、その活用法をしっかりと考えなければ、現実世界に何が起こるか分からない。

 勿論、以上は、お伽話の仮想世界にて自らのアバターを操り楽しむことを否定するものではない。されど、最終的には現実世界へ回帰することを覚悟しての話ではなかろうかと思うばかり。何故なら、最終的には「face to face」が一番と言うことになるのだから。

 所詮、映画の「AVATAR」のような夢幻世界は、現代においては実現不可能である。ただ、イメージの中で、夢は夢として、仮想世界で楽しむのは、別次元の自分の「分身」を持つことで、現実世界の自分自身を見直すきっかけになる可能性もあるのかも知れない。
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写真・図・文責:西田親生


                 

  • posted by Chikao Nishida at 2023/3/2 12:00 am

親を取るか、仕事を取るか!?・・・我が半生における最大の采配ミス。

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 1995年にインターネット事業を本格化する決断を下した。まだ、国内ではホームページを持つ企業は1000社あるかないかの、インターネット黎明期である。

 日本経済新聞社が初の全国インターネット参加企業のURLを収めた書籍を出版した。勿論、そこには当社サイトも掲載されていたが、まだまだ、インターネット自体が何物なのか、懐疑的に見る人の方が圧倒的に多かった。

 例えば、サイトの名称も色々で、毎日新聞社のサイトは『ジャムジャム』、リクルート社のサイトは『ミックスジュース』といった具合である。因みに、当社は『The Rosetta Stone』としていた。

 NTTも現在のようにOCNなど存在せず、クラスCのレベルにて、インターネットの動向を静観していたように思えてならない。

 当社へ、既に、東京の大手旅行社や某航空会社システム関連から打診が来ていた。よって、1996年の年明けには熊本から東京進出を図り、渋谷を拠点にインターネット事業をより本格化の準備をしていたのである。

 1995年12月5日、熊本市内にある当時のニュースカイホテル(現在のANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイ)にて、大々的にインターネット講演会が催され、そこで筆者も講演者三人の一人として、話をさせて頂いた。

 数百人集まったインターネット講演会。講演終了後に、何故か胸騒ぎがしてならない。実は、母が糖尿病の合併症にて腎臓を悪くし、2ヶ月半ほど入院中であった。

 インターネット事業本格化の動きのために多忙を極め、一度も入院中の母を見舞っていなかった。ところが、この日だけはどうもモヤモヤしており、胸中に鉛の玉があるように息苦しかった。

 よって、午後8時前に、母の入院先の病院へ足を運び、様子を伺うことにした。部屋に入ると、憔悴しきった母の姿が眼前にあった。父の話では、回復に向かっているとのことだったが、真逆の様子に愕然とした。

 筆者が風邪気味と聞いて、母が渡してくれたのが『うがい薬』。何とも、入院患者が見舞いにきた人間へ薬を渡すなんぞ、聞いたことがない。それから母に挨拶をして、オフィスへ向かった。しかし、帰社しても胸騒ぎが収まることはなかった。

 翌日のことである。あまりに気になるので、昼過ぎに病院へ電話を掛け、母と話すことができた。僅か数十秒しか話せなかったが、電話を切る間際に、母曰く「死ぬとは思わないけど、立っているのが辛いので、電話切りますよ。インターネット事業頑張ってね!」と。プツッと電話の切れる音がした。

 次第に胸騒ぎはより強くなって行く。そして12月7日の深夜午前0時半頃に病院から連絡が入り、母の容体が悪化し、瀕死の状態であると言う。残念ながら、筆者の胸騒ぎが的中したようだ。

 病室へ駆けつけると、母の口や鼻には管が差し込まれ、既に意識不明の状態に陥っていた。何度か声を掛けても、母は微動だにしない。ただ、不思議だったのは、瞑っている眼から涙が滲み出てきたのである。

 もしかすると、筆者の声が聞こえているのかも知れない。痛かろう、苦しかろうと思いつつ、声を掛けることを止めることはなかった。しかしながら、午前3時半過ぎに心電図の波形が止まり、ピーッという音とともに、担当医の「ご臨終です」の一言が聞こえてきた。

 前置きが長くなったけれども、本日のお題はこれからとなる。

 翌年1996年にインターネット事業の拠点を東京渋谷に移転する予定が、この母の死で、どうすべきかに迷いが生じてきたのであった。

 父曰く、「墓守は誰がするんだ!?」と聞かれると、「渋谷で遣るから、お父さん遣ってよ!」とは言い難い。それから一週間ほど考え込んだ末に、拠点を東京へ移すことを諦め、熊本市内でインターネット事業を継続することを決断したのである。

 それは、今思えば、母の最後の言葉である「インターネット事業頑張ってね!」を裏切ることになったのかと、今も尚、悔いばかりが残る、当時の決断。

 今だからこそ言えることだが、母を思い、父を思い、自らの意志で事業展開をしつつある中で、分水嶺に立たされ、決断したことが裏目に出たように思えてならない。

 しかし、その当時の筆者の決断が正しかったのか否かは、筆者本人でさえも判断できない。

 ただ、若い方々がこれから起業する上で、いろんな障壁があったり、不慮の事故などで支障が出てくる可能性も無きにしも非ず。しかしながら、今の筆者が言えることは、『全てを払い除けてでも、夢実現に向けて爆走せよ!』と申し上げたいのである。

 『たられば』の世界ながら、1995年以来継続中であるインターネット事業ではあるが、筆者の半生における、最大の采配ミスであったと感じている。

 何故ならば、Yahoo Japanもライブドアも、本格始動は1996年7月1日以降だったと記憶している。黎明期であるが故に、当時のインターネット事業成功の可能性は絶大なるものであったに違いない。

 末筆ながら、母から貰った赤いキャップの『うがい薬』は、27年の歳月を経て、今も尚、洗面所のボックスの中で生きている。


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文責:西田親生

                                       

  • posted by Chikao Nishida at 2022/10/25 12:00 am

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