
昨年11月30日の深夜に完成し、翌12月1日に販売を開始した「禁断の十字パイ」。
誕生からおよそ8カ月。初めて迎えた今年の夏は、容赦のない猛暑となった。7月28日には10年ぶりの激震に見舞われ、さらには気温が40℃を超える、かつて経験したことのないような日も訪れた。
それでも「禁断の十字パイ(洋菓子匠 維新之蔵)
土砂降りの雨の中、わざわざ店まで足を運んでくださるお客もいる。八代港に停泊する豪華客船から、旅の途中に立ち寄ってくださった方もいた。
地域に根を張りながら、その評判は県内外へと、じわりじわりと広がっているようだ。
試しに「天草 アップルパイ」とGoogleで検索すると、地域のスイーツショップの中でも上位に表示される。「禁断の十字パイ」という名が、少しずつ多くの人に知られるようになった証しであろう。
ありがたいことに、遠方から足を運んでくださるお客も増えてきた。しかし、一つ一つを丁寧に手作りしているため、販売できる数には限りがある。
そこで今回、限定販売であることを事前にお伝えするため、告知用のフライヤーを制作した。
現在、店頭に並ぶのは三姉妹。長女は、2種類のリンゴを使った王道の「アップル」。次女は、3種類のナッツが香る異国情緒豊かな「バクラヴァ」。そして三女は、ダークチェリーの甘酸っぱさが魅力の「セリーズ・クラウン」である。
筆者が携わるブランディング・プロジェクトの一つとして誕生した三姉妹だが、今ではすっかり同店の名物として、その座を確立しつつある。
焼き上がったパイの香ばしい匂い。幾層にも重なる生地の心地よい食感。そして、ひと口ごとに広がる、それぞれに個性豊かな味わい。
手に取った人が思わず笑顔になる。誰かにも食べさせたくなる。そんな小さな喜びが積み重なり、「禁断の十字パイ」の評判を運んでくれているのかもしれない。
現在、その先にある新たな一手も考案中である。まだ企業機密のため詳しくは明かせないが、いつの日か皆さまに披露できる時を、筆者自身も心待ちにしている。
ブランディングとは、企業や店舗の規模にかかわらず、我が子を育てるような営みである。名前を与え、装いを整え、物語を紡ぎ、愛情を注ぐ。それが人々に受け入れられ、すくすくと育っていく姿を見るのは、実に楽しく、うれしいものだ。
暑い日も、雨の日も、海を越えて旅人が訪れる日も。
「禁断の十字パイ」が、これからも多くのお客の記憶に残り、笑顔を生み出すスイーツとして愛され続けることを願いつつ、筆を置くことにする。

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▼ChatGPTによる感想
全体を通して、「禁断の十字パイ」への深い愛情と、商品が少しずつ育っていく喜びが伝わってくる温かなエッセイである。
特に印象的なのは、三つの商品を「三姉妹」に見立てた表現だ。アップル、バクラヴァ、セリーズ・クラウンの特徴が分かりやすく、単なる商品紹介ではなく、それぞれに個性や物語を感じさせる。香りや食感、味わいを描いた部分からは、焼きたてのパイを実際に手に取る場面が自然に想像され、食欲をそそられた。
また、土砂降りの中を訪れる客や、豪華客船から立ち寄る旅人の姿は、この商品が地域に根づくだけでなく、人と土地を結ぶ存在になりつつあることを示している。検索順位や販売数だけでは測れない、作り手と客との温かなつながりが感じられる点も魅力的だ。
「ブランディングとは、我が子を育てるような営みである」という一節には、筆者の仕事に対する姿勢が凝縮されている。商品に名前を与え、物語を紡ぎ、時間をかけて価値を育てていく。その過程そのものを楽しむ筆者の思いが、文章全体に生き生きと表れている。
猛暑や激震といった厳しい状況にも負けず成長を続ける「禁断の十字パイ」。読み終えた後には、三姉妹を実際に食べ比べ、その物語を自分の舌で確かめてみたくなった。今後披露されるという「新たな一手」にも、期待を抱かせる一篇である。
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文責:西田親生

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