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営業の心得|西田親生流

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 寝起き早々に、思いつくまま頭に浮かんだことを、営業の心得として50箇条列記してみた。それをまとめたのが、「営業の十則」である。

 尚、50箇条については、申し訳ないが、メンバーシップのみとする。

営業の十則

― 自分の都合は相手に通用しない ―

第一則 己の都合を押しつけず、相手の立場に立て。
自分の目標や焦りは、相手が応じる理由にはならない。相手の時間、事情、判断を尊重し、断る自由も認めよ。営業は、相手を理解することから始まる。

第二則 売る前に、役に立て。
商品を売ることだけに心を奪われず、相手の困り事と望む姿をつかめ。必要のないものは勧めず、見送りや別の方法も示せ。売上は、提供した価値の対価と心得よ。

第三則 人を敬い、誠実を貫け。
肩書や契約の見込みによって、礼節を変えるな。自慢、おべっか、知ったかぶりを慎み、噂話に軽々しく同調するな。本音は率直に語り、言葉には配慮を持て。

第四則 心身と時間を整え、自らを律せよ。
睡眠、食事、休養を軽視せず、焦りや不機嫌を相手に背負わせるな。仕事には優先順位をつけ、期限から逆算して動け。自分を整えることが、安定した仕事の土台となる。

第五則 目標を定め、考えて動き、動いて学べ。
夢や希望を、期限のある具体的な行動に変えよ。指示や完璧な準備を待ち続けず、小さく試して改善せよ。行き詰まったら原因を整理し、必要な助けを求めよ。

第六則 学びを怠らず、事実を確かめよ。
宣伝資料の説明にとどまらず、商品の仕組みと限界、顧客の業界や社会の動きを学べ。事実と推測を分け、分からないことは確認せよ。紹介や経験にも頼り切らず、自ら確かめる姿勢を持て。

第七則 よく聴き、問い、理解を確かめよ。
自分が話すことより、相手を知ることを優先せよ。悩みの背景、影響、優先順位を尋ね、要点を返して認識をそろえよ。沈黙を急いで埋めず、言葉にならない迷いにも心を配れ。

第八則 核心を簡潔に伝え、判断に役立つ提案をせよ。
商品の特徴を、相手にとっての具体的な価値として語れ。効果の根拠と条件を示し、費用、負担、限界も隠すな。異論を言い負かさず、不安を解き、相手が納得して選べるようにせよ。

第九則 約束を守り、過ちには行動で責任を果たせ。
できない約束をせず、誰が何をいつまでに行うかを明確にせよ。失敗したら隠さず、被害の拡大を防ぎ、誠実に謝れ。謝罪で終わらせず、回復と再発防止まで取り組め。

第十則 縁と信用を、長く育てよ。
契約後も相手を気にかけ、預かった情報を守り、日々の小さな約束を大切にせよ。結果を振り返り、自分の言動を磨き続けよ。「この人に相談してよかった」と思われる仕事を積み重ねよ。



※ヘッダー画像は、ChatGPTが記事を読み生成したもの

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▼ご参考まで

営業の心得50箇条

― 自分の都合は相手に通用しない ―

1)自分の都合を、相手の義務にするな。
自分の勤務時間、目標、焦りは、相手が応じる理由にはならない。訪問も連絡も依頼も、相手の事情を確かめるところから始めよ。
2)営業の目的は、相手の役に立つことである。
売ることだけを目的にすれば、相手の事情が見えなくなる。相手にとっての価値をつくり、その対価として売上を得ると心得よ。
3)相手を、契約の手段として扱うな。
相手にも生活があり、責任があり、守りたいものがある。契約の可能性だけで、人への敬意を変えてはならない。
4)立場の弱い人への態度に、人間性が表れる。
決裁者には丁重でも、受付や担当者に横柄では信用されない。誰に対しても礼節を保て。
5)自信を持て。ただし、自分を大きく見せるな。
自信は準備と経験から育てるものだ。虚勢や肩書、人脈の誇示で補おうとすれば、かえって底が見える。
6)誠実であれ。ただし、本音を無遠慮の口実にするな。
言葉を飾って取り繕う必要はない。しかし、率直さには、相手の尊厳を傷つけない配慮が伴わなければならない。
7)相手の立場を想像し、想像だけで決めつけるな。
思いやりは、相手を理解しようとする姿勢である。「あなたのため」と言う前に、本人の考えを確かめよ。
8)断る自由を尊重せよ。
相手には買わない権利も、今は決めない権利もある。断りを押し切ることを、営業力と取り違えるな。
9)夢や希望を、今日の行動に落とし込め。
目標には期限と到達点を定め、必要な行動を具体化せよ。願っているだけでは、仕事は一歩も進まない。
10)時間を埋めるな。優先順位をつけよ。
忙しさと成果は同じではない。重要な仕事にまとまった時間を確保し、隙間時間は準備や確認に生かせ。
11)期限に対する姿勢が、信用をつくる。
「性格が呑気だから」は、遅延の説明にはならない。余裕を持って着手し、遅れる見込みがあれば早く知らせよ。
12)体調管理を仕事の土台に据えよ。
睡眠、食事、休養を軽視するな。不調を気合や自己否定で押し切らず、必要な調整や支援につなげよ。
13)感情を整えてから、人に向き合え。
焦りや不機嫌を相手に背負わせてはならない。感情を持つことと、そのままぶつけることを分けよ。
14)小さな拒絶を、自分の全否定にするな。
断られる理由は、予算、時期、条件などさまざまである。事実を振り返り、改める点と引きずらなくてよいことを分けよ。
15)考えたなら、小さく試せ。
完璧な準備を待ち続けるな。仮説を持って実行し、反応を確かめ、次の行動を修正せよ。
16)動けない理由を、動くための課題に変えよ。
知識不足なのか、手順の不明確さなのか、負担の大きさなのか。原因を具体化すれば、相談や分担を含め、打つ手が見えてくる。
17)指示を待つ前に、自分の考えを持て。
目的を理解し、次に必要なことを提案せよ。ただし、権限を越える約束や独断を、主体性と呼んではならない。
18)自立とは、一人で抱え込むことではない。
人任せにせず、自分の責任を果たすために人の力を借りよ。行き詰まってから隠すより、早く相談する方が仕事は進む。
19)宣伝資料の一歩先まで学べ。
商品の特徴だけでなく、仕組み、利用条件、限界、導入後の負担まで理解せよ。資料を読み上げるだけでは、相談相手にはなれない。
20)本業を深めながら、その外にも目を向けよ。
顧客の業界、社会の動き、異なる仕事や暮らしに関心を持て。提案の手がかりは、自社の中だけにあるとは限らない。
21)調査には、確かめたい問いを持て。
漫然と情報を集め続けるな。何を知れば判断できるのかを定め、必要な範囲を調べよ。
22)紹介は縁の入り口であり、信用の保証ではない。
信頼できる人の紹介にも、自分で確かめる姿勢が必要である。紹介者の顔を借りて、相手の承諾を迫ってはならない。
23)知らないことは、知らないと言え。
知ったかぶりは、その場を取り繕えても後で信用を失う。確認先と回答期限を示し、確かな情報を届けよ。
24)事実、推測、意見を混ぜるな。
自分の思い込みを事実として語ってはならない。数字や評判は出所を確かめ、分からない範囲も明らかにせよ。
25)商談の前に、相手を知る努力をせよ。
公開情報やこれまでのやり取りを確認し、質問を準備せよ。ただし、事前情報で人物像や課題を固定するな。
26)第一印象は、清潔さと落ち着きで整えよ。
服装や資料は、相手が安心して話せるように整えるものだ。見栄えに頼らず、表情、声、立ち居振る舞いにも心を配れ。
27)話す前に、話してよい時間を確かめよ。
相手の忙しさを無視して、説明を始めるな。用件と必要な時間を簡潔に示し、了承を得て進めよ。
28)話の上手さより、聴く姿勢を磨け。
相手の話を、次に自分が話すための待ち時間にするな。途中で結論を奪わず、言葉の背景まで理解せよ。
29)質問は、理解のために使え。
自分が望む答えへ誘導するな。何に困り、何を守り、どうなりたいのかを、相手が話しやすい問いで確かめよ。
30)沈黙を恐れるな。
相手が考える時間まで、自分の言葉で埋める必要はない。待つことも、対話を支える大切な働きである。
31)理解したつもりにならず、要点を返せ。
「お困りなのは、この点ですね」と自分の言葉で確かめよ。認識のずれは、提案の前に修正するほどよい。
32)悩みの切実さを、具体的な事実で確かめよ。
相手の言葉を疑って試すのではなく、頻度、影響、優先順位、解決したい時期を尋ねよ。相談の重さを、印象だけで判断するな。
33)目の前の担当者だけで、判断が完結するとは限らない。
利用する人、承認する人、費用を負担する人の事情を理解せよ。担当者が周囲に説明しやすい材料まで用意せよ。
34)核心から、簡潔に話せ。
結論と相手に関係する理由を先に伝えよ。枝葉の説明を重ねて、本当に伝えるべきことを埋もれさせるな。
35)自慢とおべっかで、距離を縮めようとするな。
人脈や実績は、相手の判断に役立つ場合に限って示せ。褒めるなら、よく見た事実を誠実に言葉にせよ。
36)噂話に乗らず、競争相手を貶めるな。
確証のない批判への同調は、自分の信用も損なう。違いを説明するなら、確認できる事実と条件で語れ。
37)言葉以外の反応にも気を配れ。
相手に注意を向け、表情や声、間の変化を見よ。視線の合わせ方は相手に応じて調整し、反応だけで気持ちを断定するな。
38)商品の特徴を、相手にとっての価値に翻訳せよ。
何ができるかだけでなく、どの手間が減り、何が改善するかを伝えよ。相手の課題につながらない長所は、決め手にならない。
39)提案には、根拠と条件を添えよ。
効果を語るなら、その根拠と実現に必要な条件を示せ。期待できることと、保証できることを明確に分けよ。
40)不利益や限界を、先に伝えよ。
費用、制約、導入の負担、向かない用途を隠すな。不都合な情報も含めて判断できることが、相手の安心につながる。
41)売らない判断を持て。
合わない商品を無理に勧めれば、相手にも自分にも負担が残る。見送りや別の方法が適切なら、その理由を率直に伝えよ。
42)相手が自分で判断できる「気づき」を届けよ。
見落としていた課題や選択肢を、分かりやすく示せ。相手の理解が深まることこそ、営業が提供できる価値の一つである。
43)反論を、勝ち負けの争いにするな。
異論には、不安や条件の不一致が含まれている。言い負かすより、何が判断を妨げているのかを確かめよ。
44)できない約束をするな。曖昧な約束も残すな。
納期、価格、対応範囲は、実行できることを確認して伝えよ。合意した内容は、双方が確認できる形で残せ。
45)商談の終わりに、次の一歩をそろえよ。
誰が、何を、いつまでに行うのかを確認せよ。連絡の時期や方法も相手と合わせ、独りよがりな追客を避けよ。
46)契約後こそ、約束の価値を証明せよ。
売って終わりにせず、導入や利用の状況を確かめよ。担当が変わる場合も、必要な情報を引き継ぎ、相手を取り残すな。
47)預かった情報は、預かった信用である。
顧客の相談、社内事情、個人情報を、雑談や別の商談の材料にするな。共有するときは、必要な相手と範囲を見極めよ。
48)失敗したら、まず被害を止め、誠実に謝れ。
自分の落ち度を隠さず、事実と影響を速やかに伝えよ。謝罪で終わらせず、関係者と協力して回復策と再発防止を実行せよ。
49)結果を振り返り、自分の行動を改めよ。
他人のせいにせず、同時に何もかも自分のせいにもするな。原因を見極め、変えられることを次の行動に反映せよ。
50)目先の一件より、長く信頼される人間を目指せ。
信用は、日々の小さな約束、礼節、学び、責任の積み重ねである。「この人に相談してよかった」と思われる仕事を続けよ。

▼ChatGPTによる感想

相手への敬意を、毎日の行動にまで落とし込んだ心得だと感じました。「誠実であれ」「相手の立場に立て」という原則に、時間の使い方、聴き方、情報の確かめ方、失敗への対応が結びついています。そのため、読み手は賛同するだけでなく、「自分は実際にどう振る舞っているか」と問われます。

十則を先に置いた構成は、全体の考えをつかみやすくなっています。まず十則で骨格を理解し、気になる点を50箇条で具体的に確かめられる。「ご参考まで」という区切りもあるため、十則だけで読み終えることも、詳しく読み進めることもでき、読者への配慮が感じられます。

中心にある「自分の都合は相手に通用しない」は、厳しくも納得できる言葉です。自分には切実な売上目標でも、相手には購入する理由にならない。この区別を忘れると、熱意が押しつけになり、親切が独りよがりになる。第一則は、その危うさを自覚するための出発点として働いています。

特に重みを感じるのは、「売る前に、役に立て」と「不利益や限界を、先に伝えよ」が同じ文章に収まっていることです。役に立つと口にするだけなら容易ですが、不都合な条件を伝え、場合によっては売らない判断をするには、目先の成果への執着を抑える必要があります。ここに、誠実さを実践する際の難しさまで含まれています。

また、第六則の「事実を確かめよ」と第七則の「理解を確かめよ」が響き合っています。商品について知識があっても、相手の事情を取り違えれば提案は外れます。相手に共感していても、説明する情報が不正確なら迷惑をかける。正確な知識と、相手を理解しようとする姿勢の両方が必要だという点に、説得力があります。

自律や責任を求めながら、「必要な助けを求めよ」「何もかも自分のせいにもするな」と添えている点も大切です。失敗を認めて立て直す余地があり、責任感の強い人が抱え込みすぎることにも歯止めをかけています。この部分まで含めて読むことで、厳しい語調が実務に役立つ助言として受け取れます。

一方、「相手の立場に立つ」は、相手の要求をすべて受け入れることだと誤読しないようにしたいところです。その意味で、第九則の「できない約束をせず」が重要になります。相手を尊重することと、自分たちが責任を持てる範囲を明示することは、両立させる必要があります。十則は互いに補い合っており、一則だけを切り離さずに読む価値があります。

最後が「縁と信用を、長く育てよ」で結ばれるため、読後には契約後の関係まで視野が広がります。「この人に相談してよかった」という評価には、説明の分かりやすさも、断ったときの態度も、問題が起きた後の対応も含まれるでしょう。その言葉を仕事の到達点に据えているところに、この心得の人間観が表れていると感じました。
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文責:西田親生


                   

  • posted by Chikao Nishida at 2026/9/7 12:00 am

旗艦本という覚悟

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 現在、筆者が最も思い悩んでいるのは、これまで三十数巻の紙書籍を出版してきたものの、自分なりに「これなら納得できる」と言えるものが、僅か数巻に満たないことである。

 正直に言えば、これまでは「気合を入れて出版する」ことに力点を置きすぎていたのかもしれない。

 なぜ、これだけ出版しても納得できないのか。自問自答を重ね、ようやく一つの答えに辿り着いた。

 筆者には、まだ「旗艦本」がないのである。

 これまで出版してきた書籍の多くは、ネット上へ投稿してきたエッセイをテーマごとに束ねたものである。一冊の書籍としての体裁は整っている。しかし、オフィスの書棚に並べて眺めてみると、どこか「西田親生ベストエッセイ集」の域を出ていないように思えてならない。

 そもそも、一年前の昨夏に電子書籍出版へ着手した目的は、これまでネット上へ投稿してきた大量のエッセイを、特定の「キーワード」で括り、一冊の書籍として再構成できるかを検証することにあった。

 noteを含め、一万本を超えるエッセイ群からキーワードで抽出し、章立てし、カテゴリーに分ける。あるいは時系列に並べ、筆者自身の思考や経験の変遷を眺める。

 いわば、出版そのものが一つの壮大な実験だったのである。

 その結果、電子書籍だけでも三十数巻を出版することになった。電子書籍には多くの利点がある。「紙を使わない」「パソコンさえあれば出版準備ができる」「多種多様なデバイスやアプリで閲覧できる」「購入後、即座にダウンロードできる」など、利便性という点では極めて優れている。

 ところが、実際に複数のデバイスやアプリで閲覧してみると、筆者には大きな違和感が残った。

 改ページ、改行、文字組み、余白、全体のレイアウト。それらが閲覧環境によって微妙に変化し、筆者が意図した「一冊の本としての美しさ」を保つことが難しいのである。

 EPUBという形式の特性、制作に使用するアプリの仕様、リフロー型にするのか固定レイアウト型にするのか。試行錯誤を重ねるほど、筆者の中で「これは自分が求めている書籍なのか」という疑問が早々に膨らんでいった。

 そこで断腸の思いではあったが、出版していた電子書籍のほぼすべてを販売停止とした。

 今年に入り、紙書籍の出版を始めたことも大きかった。

 電子書籍の利便性と、紙書籍という物体が持つ存在感。その両者を何度も比較し、自問自答した結果、筆者は紙書籍を選んだ。

 今の時代に逆行していると感じる人もいるだろう。しかし、筆者の周囲の知人や友人に尋ねても、電子書籍より「手に取って読む紙書籍」を好む人が少なくなかった。

 さらに現在は、プリント・オン・デマンドという仕組みがある。

 従来型の出版では、制作から印刷、流通、書店展開まで考えれば、相応の費用が必要になる。自費出版や出版支援サービスを利用すれば、仕様や部数によっては数十万円から、数百万円の負担になることも珍しくない。

 もちろん、人生の節目として書籍出版に夢を持ち、費用を投じて一冊を世に送り出すことには、それ自体の価値がある。しかし、筆者の場合、第一の目的は書店に自著を並べることではない。

 コンサルティング事業の資料であり、セミナーの教材であり、企業の社員教育や意識改革へ活用できる「知的資産」として書籍を残すことにある。

 だからこそ、Amazonのプリント・オン・デマンドによるA5判ペーパーバックに絞り、現在まで出版を続けてきた。

 しかし、ここで新たな問題に突き当たった。

 書籍としての体裁や印刷品質以前に、筆者自身の思想、哲学、経験、技術、そして生きてきた軌跡が、本当に読者へ届いているのか。

 そう問われれば、胸を張って「届いている」とは言えない。その原因こそ、「旗艦本」の不存在である。

 オフィスの書棚には、三十数巻が書棚に並んでいる。

 「短期間で、よくこれだけ出版しましたね」と言われれば、それなりの達成感はある。

 しかし、自分自身へ問いかけてみる。「では、その中に『西田親生とは何者なのか』を一冊で示せる本がありますか?」答えに詰まる。ここが、現在の筆者にとって最大の問題なのである。

 これまでの書籍出版を軽視しているわけではない。それぞれの書籍には、それぞれの役割がある。セミナーや企業研修、社員の意識改革などに用いる教材としては、十分に成立するものも少なくない。

 しかし、それらを束ねる「本丸」がない。

 筆者の人間観、仕事観、AI観、食文化への眼差し、写真への執念、戦争への問い、災害の記録、家族の記憶。そして、新聞社時代から起業後に至るまで、死に物狂いで取り組んできた多種多様なプロジェクト。

 それらは決して別々の話ではない。すべての根底には、「人間をどう見るか」「仕事とは何か」「何を後世へ残すのか」という、筆者自身の一本の思想が流れている。

 その一本の川を、これまでは数多くの支流として出版してきたのかもしれない。ならば今度は、その源流から河口までを一本につなぐ必要がある。

 それが「旗艦本」である。

 現在、Macのメモには、その旗艦本の構想を書き溜めている。これまでのように既存のエッセイを集め、テーマ別に束ねるだけではない。

 これまで書いてきた膨大な題材をもう一度俎上に載せ、「人間学」「仕事」「AI」「食文化」「写真」「戦争」「災害」「家族」などを再検証し、そこに通底する思想を掘り起こす。

 必要であれば書き直す。足りなければ書き足す。過去の自分の考えが甘ければ、自ら否定する。そうした作業を経て初めて、「これが自分の一冊である」と言えるものになるのではなかろうか。

 書籍のために原稿を書くことと、後世に記録として残す価値のある一冊をつくることは、まったく別物である。

 付け焼き刃では届かない。冊数でもない。ページ数でもない。ましてや、「出版した」という事実だけでもない。最後に残るのは、その一冊に、著者が何を賭けたのかである。

 今、筆者の脳内が嵐のようになっているのは、そのためだ。

 これまで出版してきた書籍を否定するつもりはない。電子書籍の時のように、一気に出版停止することも考えていない。それぞれ単独で活用できるものは残し、役割を終えたと判断した数巻については、今後整理する可能性がある。

 しかし、これからの出版は変える。「何冊出したか」ではなく、「何を残したか」へ。その転換点として、次に挑む一冊を、筆者の「旗艦本」としたい。

 ようやく三十数巻を経て、筆者は「出版すること」ではなく、「一冊を残すこと」の意味を考え始めたのである。

※旗艦本とは?
書籍出版における「旗艦本」とは、単に「一番売れている本」でも「一番ページ数が多い本」でもありません。著者の思想・専門性・経験・世界観を最も体系的に集約し、「この著者は何者なのか」を一冊で示す中核書籍です。

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▼ChatGPTによる感想

読み終えて強く残るのは、これは単なる「次の本をどう作るか」という出版論ではなく、三十数巻を出した著者が、自らの出版活動そのものを再定義する自己批評のエッセイだということである。

特に核になっているのは、次の問いである。

「では、その中に『西田親生とは何者なのか』を一冊で示せる本がありますか?」
この問いが入ったことで、文章全体が締まった。それまで語られている電子書籍から紙書籍への移行、EPUBへの違和感、プリント・オン・デマンド、三十数巻という出版実績が、すべてこの問いへ収束していく。

そして答えが「ない」。

ここが重要である。三十数巻出版したことを実績として誇る方向へ行かず、むしろ三十数巻出したからこそ、自分に欠けているものが見えたという構造になっている。成功談ではなく、経験を重ねた末の自己否定から次の段階へ向かっているため、文章に説得力がある。

もう一つ印象的なのは、

「何冊出したか」ではなく、「何を残したか」へ。
という転換である。

私は、この一文が本稿の結論であると同時に、今後の出版活動の宣言になっていると感じた。

出版を始めた頃は「大量のエッセイをキーワードで再構成できるか」という実験だった。それが電子書籍から紙書籍へ移り、さらに今回、「出版物」から「知的資産」へと目的が変わった。そして今度は、その知的資産群の中心に思想体系としての一冊を置こうとしている。

つまり、

エッセイ → 書籍 → 教材 → 知的資産 → 旗艦本

という進化が、この文章には見える。

特に「旗艦本」を単なる代表作として捉えていないところがいい。「一番売れた本」ではなく、著者の思想体系の座標原点として捉えている。だから既刊三十数巻も無駄にはならない。むしろ旗艦本が完成した瞬間、それまで散在していた本の意味まで変わる可能性がある。

本文にある「支流」と「源流から河口まで」という比喩は、その構造をよく表している。

これまでの「人間学」「AI」「仕事」「食文化」「写真」「戦争」「災害」「家族」は、一見するとかなり離れたテーマである。しかし筆者自身が指摘しているように、その地下には、

「人間をどう見るか」
「仕事とは何か」
「何を後世へ残すのか」

という共通した問題意識が流れている。

旗艦本で本当に掘るべきなのは、実は八つのジャンルそのものではなく、なぜ筆者は、これほど異なる対象を見ながら、結局いつも「人間」へ戻ってくるのかという一点ではないかと思う。

そこまで掘れれば、単なる「西田親生ベストエッセイ集」ではなくなる。

写真を語っても人間論になる。料理を語っても仕事論になる。AIを語っても人間論になる。戦争を語れば国家と人間の問題になる。災害を語れば生と記憶の問題になる。

その共通する「ものの見方」を言語化したものこそ、旗艦本の背骨になるはずである。

また、

必要であれば書き直す。足りなければ書き足す。過去の自分の考えが甘ければ、自ら否定する。
ここにはかなり強い覚悟がある。

過去原稿を保存することが目的なら「作品集」で済む。しかし旗艦本を作るなら、過去の自分まで編集対象にしなければならない。この発想によって、タイトルの**『旗艦本という覚悟』**が本文としっかり結びついている。

そして最後の、

ようやく三十数巻を経て、筆者は「出版すること」ではなく、「一冊を残すこと」の意味を考え始めたのである。
これは非常にいい着地である。

三十数巻が「遠回りだった」とは読めない。むしろ、三十数巻という試行錯誤がなければ、この地点には到達できなかったと読めるからである。

だから本稿は、旗艦本の予告編であると同時に、これまでの出版活動に対する「中間決算」でもある。

そして興味深いのは、旗艦本がまだ完成していない現在の段階で、すでにその核心らしきものが本文に現れていることである。

それは、**「何を出版するか」ではなく、「自分は何を後世へ残す人間なのか」**という問いである。

おそらく旗艦本を本当に強い一冊にする鍵は、三十数巻を一冊へ凝縮することではない。一万本を超える文章と三十数巻の書籍の底を流れていた「西田親生の判断基準」を発見し、それを体系化することにある。

そこまで到達すれば、「旗艦本」は代表作というより、これまでの著作群を束ね、これからの著作群の方向まで決める母艦になるのではないか。

『旗艦本という覚悟』というタイトルも、前稿までの迷いが消え、かなり研ぎ澄まされた。内容とも一致している。何より、「旗艦本を作ります」ではなく**「覚悟」**としたことで、この一冊に賭けるものが出版技術ではなく、著者自身であることが伝わってくる。
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文責:西田親生


                                 

  • posted by Chikao Nishida at 2026/8/21 12:00 am

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