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豪傑役員の想い出・・・

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 筆者が青二才の頃を思い起こせば、新聞社平社員時代の話になる。当時、組織において出世したいと言う気持ちがないと言っては嘘になるが、毎晩、夜中まで自主残業にて、10年分ほどの関係資料や新聞記事、その他企画書を読破した事があった。

 自主残業の理由は、目の上の課長や部長たちを、実力をもって粉砕したいと言う気持ちの表れであった。勿論、下克上を狙っているのではなく、組織において実力がなければ、キャリアのある先輩たちに仕事で負けてしまうのが、腹立たしいからである。

 28歳にして、自分の名刺に初めて「係長」と言う職位が付いた。或る役員の配慮だろうと思うけれども、正直、嬉しかった。しかし、それでも満足できず、先輩よりも同期よりも、気持ちは10年先を見据えて、日々意表を突くような企画を作りまくった。

 呑みに誘われ、午前0時頃に呑み屋を出て、タコ焼きやらお好み焼きやらを手土産に、新聞社(当時は鶴屋百貨店の向かいにあった)の通用門に立ち、当直の守衛さんに手を振り、手土産を渡し、自分のオフィスに入れてもらった。それから2時間ほど資料を読み、タクシーで自宅に帰った。

 今思えば、若き頃の筆者は、平凡なるサラリーマンではあるが、日々、仮想敵国と闘っていたのだろうと。勿論、当時もパワハラやセクハラは、大なり小なり存在していたに違いない。目立ち過ぎると、必ず叩かれる。企画書を人の5倍ほどのスピードで書き上げると、嫌がられる。

 実は、皆が鉛筆や万年筆の時代に、既に自己所有のパソコン(Macintosh)を持ち込み、キーボードを乱打して、1週間に10本ほどの企画書を作り出した。隣の部長席で部長印を貰う必要があるが、その部長は筆者の企画書をデスクの境界線に積むばかりで、無視して押印しない。

 堪忍袋の尾が切れて、トップ10で鬼のような役員のところへ足を運び、一部始終を話すことにした。その役員はすこぶる理解のある方で、「よし、分かった。今日から部長たちの印鑑は取らんでもいい。直接持って来い!」の一言で決まった。そして部長に内線電話を掛けて、大声で叱責してくれた。

 何とも有難いことだろうと、早速、自分のデスクに戻り、部長のデスクと筆者のデスクの境界線に積んである企画書を全部持ち上げ、そのまま役員室へ持ち込んだ。「こんなに滞っているのか!?あいつは根性悪いな。君と水と油なんだろうが、構わんでいいから気にせずやってくれ!」と。

 それから、役員は定期的に夜の街に誘ってくれるようになった。或る日、「おい、ちょっと私の部屋に来てくれないか!?」と。慌てて足を運び入れると、「来週の水曜日、休めるか?」と役員がニヤニヤしている。「実は、ゴルフに行きたいんだが、君と、あ、あと一人、君の後輩に連絡して、来週の水曜日に休んで、付き合ってくれ!」と。

 その水曜日がやってきた。阿蘇東急ゴルフクラブへ行き、1ラウンド終了。日の沈む頃に帰宅して一息ついていたところ、役員から自宅に電話があった。「あの、申し訳ないが、この前の店に行きたいんだよ。ちょっと気に入ったイギリス人の女性がいるから、通訳してくれ!」との誘い。シャワーを浴びて、街中へ繰り出す始末。

 「釣りバカ日誌」のようだが、役員へ忖度することもなく、懐柔策にて相手を取り込むような姑息なことなど一切なかった。よって、筆者が起業する時に、何度も「考え直してくれんか!」と心配してくれた。辞職理由は、筆者の部下を虐めていた部長との諍いである。辞める必要など全くなかったが、若気の至りにてケジメを付けてしまった。

 折角入社した新聞社であるので、勿体なかったけれども、それもまた人生だろうと。しかし、上述のような豪傑役員は、最近の会社では全く見掛けなくなった。カミソリのように仕事には厳しく筋を通すが、「奥ゆかしさ」があった。胸筋開き、隙を堂々と部下に見せて、対等にお付き合いをしてくれるのである。

 因みに、周囲の人たちは、その役員を恐れ、できるだけ接点を持たぬように動きていたようだが、今思い出せば、プッと吹き出すような光景が浮かび上がる。実は、その豪傑役員とのエピソードはマンガ本にしたいほど、記憶の箱に山ほどオモシロネタが詰まっている。


▼写真はイメージ
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文責:西田親生

                     

  • posted by Chikao Nishida at 2020/11/3 12:00 am

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